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タイトル |
ワセダ大学小説教室
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三田誠広 |
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これは、三田誠広さんという作家が、早稲田大学で行った小説作法講義を、本にまとめたものです。
この本を読めば分かりますが、三田さんは幼い頃からたくさんの本を読み、
17歳で書いた小説が、文藝学生小説コンクール佳作入選してデビューしています。
そして29歳のとき、「僕って何?」で芥川賞をとりました。
ちなみにお父さんは三田工業、今の京セラミタの社長さんだったらしいです。
今はお兄さんが社長ということです。
「ワセダ大学小説教室シリーズ」は3部作構成になっていて、
「天気のいい日は小説を書こう」が、初級編
「深くておいしい小説の書き方」が、上級編
「書く前に読もう超明解文学史」は、小説家を目指す人のための、近代文学史の解説になります。
講義をそのまま活字に起こしたということで、口語調の文体になっています。
テンポがよく、読みやすい感じになっています。
確かに、小説の書き方について、色々と書かれています。例えば、
文章は長くせず、短く区切る。
複文を使わず、文章を短くするということです。
主語をなるべく省く。
普通に生きている日本人は、あんまり日本語で文章を書かず、
受験のとき英語の翻訳ばかりしているので、主語をたくさん書く癖があります。
英語は基本的にどんな文章の先頭にも主語がありますが、
日本語にはあまり主語を書く習慣がないそうです。
孤独、愛、絶望、といった言葉を使わず、描写で表現する。
これは、よく言われますね。説明をするのではなく、描写する。
描写というのは、簡単に言うと、言いたいことをそのまま言うのではなく、
動作や風景で表すということですね。
オノマトペを使わない。
オノマトペはフランス語で、擬声語のことです。英語ではオノマトピアです。
心臓がドキドキする、血がぼたぼたたれる、雨がしとしと降る、などですね。
いい文章を読んでいて、オノマトペに出会うとがっくりくる。らしいです。
無駄な言葉は使わない。
オノマトペもそうですが、勢いよく小説を書いていると、
ついつい無駄な言葉がたくさん入ってしまうものです。
「少し」「ちょっと」「やっぱり」「まるで」「何かしら」「何となく」「何だか」
推敲のときは、そういうことに気をつけると良いでしょう。
小道具を活用する。
小道具はうまく使うと、心境を表現することができます。描写ですね。
まあ、こういうことは、どんな小説の書き方的な本を読んでも
大抵書いてあります。
このシリーズのいいところは、そういうところではないと、私は思います。
三田さんはたくさんの本を読み、宗教や自然科学にも非常に造詣の深い人です。
そういう人が、どのように考えて小説を書いているか、あるいは読んでいるか、が分かります。
自分は小説を書くことより、教えることのほうが得意だ、と本人も本の中で言っていますが、
話は面白いです。小説家を目指していない人でも、面白く読めます。
どちらかというと、小説を書くための技法というより、心構えというか、
どういう小説を書くべきか、というような大きなテーマになっています。
あと、口語調なのがいい。
臨場感を出すために、あえてそのまま本にしたと書いてありましたが、
思惑通り、講義の面白さが伝わってきます。
私がオススメする理由は、この口語調で書かれているところにあります。
小説はそもそも教えられるものではない、と言えるかもしれませんが、
技法を学んだだけでは書けません。大体、三田さんだって、17歳でデビューしたとき、
こんな小説作法的な本は読んだことなかったんじゃないでしょうか。
あったとしても、たぶんあまり役に立っていないと思います。
それよりも、子供のときの読書経験が役に立ったと、直接書いてはありませんが、
そう読み取れます。
小説家がどんなことを考えているのか。
それが直接伝わるので、口語調がいいのです。感覚を掴むことができます。
小説を書き始めるときに、技法なんて考えなくて良いのではないかと思います。
ちゃんと文章になっていて、それが人に伝わるか。
伝わりさえすれば、別にオノマトペだって使っていいと思います。
この本に書かれていた使ってはいけない言葉も、
文章さえ良ければ、使っていいのだと思います。
ただ、それをその場面で、本当に使うべきなのか、ということは考えなくてはいけません。
それには、読む力が必要になってきます。
それが、本当にそれでいいのかどうかを判断する力になります。
この本にはそういった力を養うためのヒントが、分かりやすく書かれていると思います。
著者はそういう意図で、書いていないかもしれません。
私は個人的にそう感じました。
じゃっかん、自分大好き感が出すぎて、他人をバカにしているようなところがありますが、
それを気にしなければ、一読の価値アリではないでしょうか。