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ホームレス生活は冬が一番つらい。温まるには燃料が必要だ。
外が明るくなった。今朝はビニールの隙間から雪が降っているのが見えた。冬も夏も少し隙間があるのが、事故防御につながっている。私のハウスは練炭のコンロで暖をとっている。
早朝に、仲間の一人が声をかけながら、ハウスに入って来た。
「ここは暖かくていいなあ」
そう言いながらコートを一枚脱いだ。寒さを防ぐのには、こういう場所なら一般的に、厚着をすることだ。どこが一般的かは知らないが、先輩からそう教えられた。火を使う場合は、たいがいは外でやる。一酸化中毒を防ぐためだ。だが、私は寒がりなのでコンロをハウスに設けている。誰も文句は言わない。そうできることは、今や裕福と見られる。練炭を手に入れるのは何らかの手ずるが必要だ。買えるわけではないのだから……。私はたまたま昔の知り合いに練炭を扱っている者がいて、多少ならわけてもらえる。灯りも充電式ランプだ。これも知り合いに頼めばたやすいことだ。
この場所で生きていくにも、いわゆる世間とは細い糸でつながっている。そういうものなのだろう、人間の生活とは……。
ここでは、朝だから、昼だから、という意味はあまりない。もともと何かしようという目的があるわけではないのだから、空の明暗は時間の測定の手段に過ぎないのだ。
「昨夜、寝ながら変なことを考えたんだ。まあ夢をみたせいでもあるんだけど……」
と仲間が言った。
「何を考えたんだ?」
「お前さあ、もし、もう一度若くなれるとしたら、どう生きたいと思うか?」
目が冗談だよと笑っている。
「そうよなあ、今が一番、気が楽で、優雅な時間を過ごしているんだからなあ……、難しい質問だなあ」
私が練炭を一つ、くるりと裏返しながら答えた。
「そう思うよなあ。おれも、そんな気がしているんだ」
「そうだろうと思うよ。考えても詮無いからそう言っているんじゃなくて、若いことが幸せというのは妄想だったような気がするなあ」
「誰が言い出したんだろうかなあ、若いって素晴らしいなんてさっ。だってさあ、みんな、おれたちの歳に向かっているわけだろう。若者の未来とは何かと言うなら、その答は老化ということだろう」
仲間が、おもむろに、弁当を差し出しながら、そう言った。
時々、身も知らぬ若い男がおいていってくれる。一言も言葉を言わない。鉄板の上をすべるかのように弁当を差し出す腕さえ、無表情に思える。どこかに、我々と何か共通項があるかのように思える。だが、誰も何も詮索はしない。ひたすら、そういう事実があるだけのことだ。
賞味期限が、二四時間以内ではあるが、期限は今朝の五時に切れている。コンビニで、アルバイトをしていると賞味期限間近かなものをくれるところが多い。
「今日はすごいご馳走にあずかれる日ということかあ」
私はお礼を言った。
最近では、金物類が不法投棄されている場所を探して、それをうまく処理すると、一日、千円くらいになることもある。