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子を見失った母に私はたじろぐ
母親の強い声が、お前も同じ時間軌道に乗っているのだぞ
と言っているかのように思える
あなたは誰?
私は誰?
六〇年間一緒にくらした時間には、どんな意味があったか?
必死に獲得してきた記憶という思い出を
一つ一つ、服を脱ぎ捨てるかのように
あちこちに置き去りにしていく母親
そういえば、昨夜、母は
押入れの中を整理したいと言った
頭の中も、押入れの中も、みんな、ぐちゃぐちゃだから、と
私は眠れない疲労した頭で考えた
明日から、自分の、持ち物の整理を始めよう、と
だが、考えれば考えるほど、
残しておくべきものは、何もない
ただ私に与えられた地球の自転回数を、
生きていくだけ
地球は、あと何回転するのか
私のいない地球に意味があるのか
時間って?
見えない不思議に
ますます眠れない夜はふけていく