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ショウと一緒


ショウ。ショウ。ショウ。
あたしはショウが大好き。いつも一緒。
「ねぇ、ショウ」
「ん? 何?」
「なんでもなーい」
「用もないのに呼ぶなって」


同じ高校の同じ学年で同じクラス。おまけに席は隣。ショウはあたしの恋人。大好きなショウ。お昼食べる時も、図書室に行く時も、ずーっと一緒。休日だってほとんどずっとショウと過ごしてるし、これからももちろんそうするつもり。
ショウはフルネームでいうと高宮尚。たかみやしょう。
「ねぇ、ショウ。英語わかんないから教えてー」
「いいよ。どれ?」
「全部」
「……勉強しろよ」
「だって先生の話つまんないんだもん」
「この前だって、注意されてたじゃんか。よそ見すんなーって」
「だってショウと話す方が楽しいもん」
「ハァ」


ショウはきれいな男の子。イケメン、というやすっぽい感じでひとくくりにしちゃうにはちょっと雰囲気が違う。ちょっぴり神秘的な感じだから、イケメン、よりきれい、っていう方が合うかな?
「男にきれい、はないだろ普通」
「えー、だってショウはイケメンって感じにはやすっぽくないもん」
「やすっ……お前今全国のイケメンを敵に回したぞ」
「だってほんとのことじゃーん」


ショウは頭がいい。あたしと同じで本が好き。大学は同じところを受験するつもりだし、一緒の塾に行くつもりだし。部活だっておんなじ文芸部。将来の夢はショウのお嫁さんになること。うふふ。
「お前本当オレにべったりだなー」
「ショウはあたしにべったりしないの?」
「人前ではべたべたしない」
「えー」

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「だって見せつけてるみたいだし、自分だってそんなの見せられたら嫌だろ」
「うー」


二人で仲良く登下校。いつだって一緒。家も近いの。ショウの家はちょっぴりお金持ち。
「ねーショウ、家にきてー」
「いいけど、毎回行って迷惑じゃないの?」
「いいのー。大丈夫」


ショウはほとんど毎日家にくる。二人で一緒に宿題したり、おやつ食べたり、ゲームしたり。
「うわー。また負けたー」
「ショウ本当にゲーム弱いねー」
「いーや、次は本気だしてやる」
「そういっていつも負けてるよー」
「ショウ、ポテトチップ食べないの?」
「ん? ああごめん、ゲームに夢中になってた」


ショウがポテトチップをつまんで食べた。ショウの口がもぐもぐ動く。
「おいしい?」
「ん? まぁしょっぱい」
「ふふっ」
「何がおかしいんだよ」
「んーん。なーんでもなーい」


いつも必ず一日十回はちゅーする。だってショウとあたしはラブラブ。ちゅって軽くするのから、軽くないのまで。いろいろするの。
「ん」
「お前さ、二人の時にキスせがむのはまだしも、学校ではそれやめろ」
「なんでー?」
「恥ずかしいだろうが。見てる周りに申し訳ない」
「そんなこと……ある?」
「あるから言ってんだって。わかったか?」
「うー……じゃ二人になったらいっぱいちゅーして」
「しょうがねーな」
「ショウがねー。なんつって」
「人の名前で遊ぶなって」


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結婚するんだもん。
「ショウー、ぎゅーってして……」
「お前さ、ちいさい子じゃないんだから幼稚な甘え方するのやめろって」
「えー、だってー」
「昔からぜんぜん成長しないな。お前」
「だっていつも一緒にいるじゃん。一緒にいるからわかんないんだよ」
「うーん。そうかなぁ」
「そうだってばー」


でもある日、私は知らない女の子たちに詰め寄られた。
「あんたさぁ、ショウショウってキモすぎ」
「クラスの害になってるって気づいてる?」
「ウザいから学校とか来ないでくんない?」
殴られたりとかはなかったけどものすごく怖かった。
「ショウ、いじめられた……」
「えっ、誰だそんなことしたやつは!」
「知らない女の子……」
「わかった。俺にまかせとけ」


次の日、女の子たちに詰め寄られることはなかった。けど、先生にショウが呼ばれたからついていった。
「昨日、お前が杉野と瀬谷と池上を殴ったって聞いたんだが、なんでそんなことしたんだ」
「先生、それは私が悪口言われたからなんです」
「だからといって、許されるわけじゃない。悪口を言った方も悪いけど、ちゃんと三人に謝って来なさい」
二人で廊下を歩いて、三人に会いに行くことになった。
「ごめんね、ショウ……」
「いいよ、気にすんな。やっぱり俺も悪かったからさ。殴っちゃ駄目だよな」
それから、三人に謝った。


家に帰ると、母さんが心配そうな顔をしていた。
「お母さん、どうしたの?」
「あのね、いつも思ってたんだけど……」
「なぁに?」




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気が付いたら、お母さんが血まみれで倒れていた。
「お母さん! どうしたの!」
「おい、電話!」
ショウがさけんだ。
急いで電話をかけた。
救急車がいそいできた。
お母さんが運ばれていた。


病院で説明を受けた。
ひどい傷を負っているように見えたけど、命に別条はないと知ってホッとした。
「よかったな」
「うん」
ショウがそばにいた。
ショウはいつだってあたしを慰めてくれる。


「すいません、警察の者ですが……」
刑事さんが来た。刑事さんは、あたしに一緒に来てほしいらしい。なんでも、状況を説明してほしいんだって。
あたしは、ショウと手をつないで一緒にパトカーに乗った。
「パトカーなんてわくわくするね」
「まぁよっぽど悪いことして捕まったりしなきゃ乗れないもんな」
「だよねー」
「これは貴重な体験だよな」
「ねー」


こわい?
そんなのありえない。
だって、あたしはいつだってショウと一緒。




ショウと一緒。


しょうといっしょ。


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「……次のニュースをお伝えします。十九日五時ごろ、神奈川県横浜市金沢区の自宅で、私立高校二年の女子学生が、母親を包丁で刺し、重傷を負わせて傷害の疑いで逮捕された事件についてですが、警察の発表によりますと、この女の子が大好きなマンガのキャラクターを母親に否定されてカッとなったのが動機だということです。」






ショウ。ショウ。ショウ。
あたしはショウが大好き。いつも一緒。
「ねぇ、ショウ」
「ん? 何?」
「なんでもなーい」
「用もないのに呼ぶなって」


ショウは、あたしのそばにいる。